2021年2月8日
トヨタ自動車 MS組立物流生技部組立SE室 小林 直人 様に、CPE資格(現在のCPE-B級資格)の資格取得者インタビューを行いました。
MS組立物流生技部組立SE室 小林 直人 様
※以降敬称略、所属・役職はインタビュー当時
CPE資格を取得される以前に、業務の中ではどのような課題をお持ちでしたか?
小林
やはりいろいろなクルマを相手にすることになるので、「一般解」的な仕事がなかなかできないという課題を感じていました。
複数のプロジェクトに対応していかないといけないので、効率を考えるとどうしてもその都度何か考えて、ということは避けたいと考えていました。
しかし、そうは言ってもクルマの個性と相反する事になってしまうので、ジレンマを感じており、どのように一般解を導き出すかという所に当時の課題を感じていました。
CPE資格を知られたきっかけを教えてください。
小林
CPEという言葉自体は、以前から聞いたことがありました。
同じ部署の先輩でも受けている方がいたので、単語として知っていたという感じです。
しかし部署の中でも何人もというわけではなくて、年に一人くらいが受けている感じでした。
当時は中身をよく理解していませんでしたが、「難しい試験だろうな」と思っていました。
実際に受けようと思ったきっかけはなんでしたか?
小林
部門の中で受験を募っていて、室長から「受けてみないか?」と言われたのがきっかけです。
お昼ぐらいに呼ばれて「受けるか?」と聞かれ、「夕方までに教えて」と言われたので、あまり考える時間もないまま「受けます」と返答しました。(笑)
受験する2か月前ぐらいの話だったと思います。
組織の中で、CPE受験を勧める習慣を作っていただいているのですね。
実際に受験者としてCPEガイドを見た際、どのような印象を受けましたか?
小林
300ページぐらいの本が2冊あって、見た時に、「ヤバイ」と思いました。(笑)
勉強し始めた初期は、仕事もあるので、勉強時間がどれぐらい取れるのか、正直あまり読めていませんでした。
しかも、会社に受験させてもらうということもあり、落ちるという選択肢は無いという、プレッシャーを感じました。
皆さん、会社からの支援もあり、少なからずプレッシャーを感じられますよね。
小林
本当に真面目にやらないとマズイな、と思いました。
大学受験以来、机に向かって勉強する機会が10年近く無かったので、果たして自分にできるのだろうかと思いながら、勉強をスタートしました。
お仕事との並立というお話もありましたが、勉強期間や勉強スタイルはどのような感じでしたか?
「朝型」「夜型」「休日詰め込み型」など、ご記憶の範囲でお聞かせください。
小林
全部で600~700ページぐらいありましたが、「せめて3回ぐらいは読まないと、恐らく頭に入り切らないだろうな」と思いました。
中身を分かっていない時点で計画を立てなければいけないので、「2か月の間に1日何ページ読まなければいけないのか」おおまかに逆算して、進めました。
ある程度単元で切らないと内容が混ざってしまうので、キリがいいところを見つけながら進めるようにもしていました。
中身や目次を見ていると、「ここは知ってそうだな」「ここは分からなそうだな」という部分が見えました。
「これって製造だな」とか、「製造の中でも、組立じゃなくて品管とか物流の人がやっていることだよね」というように、学習内容が見えた部分もありました。
自身が経験の無いところは、きっと時間がかかると思ったので、ある程度計画を立ててやっていかないと後で逼迫するだろうなと感じていました。
実際に勉強を進めていかれる中で、気付かれたことや役に立った部分がありましたら教えてください。
小林
教科書にはいろいろなことが書いてありましたが、2回くらい読んだあたりで、実際の業務をやる上で身に付けた知識と教科書に書かれていることに、ズレは無いということに気付きました。
ですから、仕事上の経験から得た知識を、教科書の勉強によってもう1回答え合わせしているような感覚がありました。
テーマや言葉遣いが若干異なっても、本質は一緒であるということに気付き始めた時、徐々に勉強していくことに抵抗が無くなり、安心感を覚えるようになりました。
もしCPEの内容に違和感を感じていたら、きっと頭に入って来なかっただろうと思います。
ガイドに書かれている事と、現場では考え方が全然違う、というようなことはよくあるにしてありますが、そういうのがあまり無かったのですね。
実際にテストセンターで試験を受けられたと思いますが、当日は、会社をお休みになられて受験されましたでしょうか?
小林
いいえ、午前中に受験して、午後は出社しました。
私の住んでいる所からだと、テストセンターは会社と逆方向だったので、受験後一度家に戻って、午後から出社しました。
受験前日もご出社されていましたか?
小林 出社しました。
試験時間は90分間ありますが、「こうしていったほうが良い」というような気付きはございましたでしょうか。
小林
パソコンと衝立があって、イヤホンをしながら選択形式で解答する方式でした。
あとで見直しができるように、チェックしておけるような仕組みもありました。
考えたら答えが出てくる…わけでもないので、「記憶できていること」と、「一般解だと思えること」をわけて、チェックしながら答えていきました。
時間はフルに使いませんでした。
恐らく40分程度で解答し、あとは見直しをしていたと思います。
分かる問題から先に着手していくほうが良い、ということですね。
小林 そうですね。
この資格を取って良かったと思われた部分は、どのようなところでしょうか?
小林
自分が経験してきたことが、CPE資格試験の内容に照らし合わせても「合っている」という答え合わせができたと感じています。
例えば「物流」や「品質管理」のような、実務として直接経験していない領域に対しても、考え方は一緒だという理解ができたのも良かったです。
他の仕事に関わる時でも、そういった生産技術面の「一般的な考え」をしっかりと持って取り組んでいくことが大事だということを強く感じました。
そういった事は部署異動してみないと実感し辛い部分ですので、今回の機会に勉強できて、資格取得ができたのはすごく良かったです。
CPE資格を取得しようか悩んでいる方に、「こういう点が良いからお勧めだよ」というポイントはありますでしょうか。
小林
「自分自身の気付き」というものは、どちらかと言うと「教えてもらう」より「やってみる」ことで、気付きを得たほうが良いと思っています。
「自分のやってきたことが一般的にどうなのかという答え合わせもできるし、実務の中であまり経験しない他の領域も含めて、幅広く考え方を学ぶこともできるから、やってみたら?」ではないかと思います。
私たちの場合、渡り歩けばいろんなことが経験できますが、機能などである程度部署が分かれています。
特に若いころは、一つのところでまずはしっかりその領域を学ぶ、という流れがあるので、他の人たちがどういう考えで何をやっているのかが分かりにくいと思います。
そういう意味でも、CPE受験は勉強になることが多いと思いますね。
ありがとうございます。
生産技術のCPE資格取得を経て、今後どのようなキャリアを歩まれていきたいかビジョンをお聞かせください。
小林
生産技術の場合は、主となる仕事はどうしても造る上での効率等になりがちですが、そういった考えを持ちながらも、我々も上流工程にしっかり入り込んで、彼らの悩みに寄り添った仕事をしていきたいなと思っています。
他の部の人達にもいろいろなことを伝えて、理解してもらいながら仕事を進めることが、会社全体としてもプラスにつながると思います。
前後工程の課題も想定し、寄り添っていくというのは、CPEの中でも特に訴えている部分です。
開発工程への入り込みについては1冊ほぼまるごと書かれているほどですが、CPEのそういった部分もご参考になりましたでしょうか?
小林 そうですね、参考になりました。
CPE資格を取られた後、どなたかにその旨をご報告されましたでしょうか?
小林
受験については、室長と当時の直属の上司だったグループ長は知っていました。
ですが、周りにはこのことを言っていませんでした。
受かるかも分からないですし、という思いも働いてしまったと思います。
家族は勉強していることを知っていました。
ある日、分厚い本を持って帰ってきて家で勉強し始めたら、「転職でもするの?」というような雰囲気になっていました。
「受験の機会を会社でもらったから、2か月ぐらい家に帰った後は籠って勉強する」と伝えて、帰宅後は2時間ぐらい勉強していました。
合格した後、社内ではどの様にご報告されたのでしょうか?
周りの方や上司の方も気にされていたと思いますが。
小林 受験を社内で推してくださった方々と、それを私に勧めてくれた上司には合格したことと、今回の機会を頂いたことに対する感謝を伝えました。