企業インタビュー

リンナイ インタビュー

2018年3月28日

リンナイ 生産技術部 商品技術開発室 商品技術課 主事 原田 太樹 様に、2017年11月期CPE-ME資格試験最高得点者としてインタビューしました。

生産技術部 商品技術開発室 商品技術課 主事 原田 太樹 様

※以降敬称略、所属・役職はインタビュー当時

リンナイ
目次

CPE試験を知ったきっかけとは?

本日は2017年11月期試験にてCPE-ME試験に最高得点にて合格されました、リンナイ株式会社 生産技術部 商品技術開発室 商品技術課 主事 原田大樹様を訪問しております。誠におめでとうございます。

原田 有難うございます。まさか最高得点とは思っていませんでした(笑)。

御社においてCPE試験はどのように位置づけされているのでしょうか。

原田 私が知る限り、社内でCPEを知る人はいませんでした。
過去の試験の実績に当社の名前がありましたから、誰かが受験したのでしょうが、その存在も社内で知られていませんでした。

それでは原田様が自主的にCPEを知ってご受検いただいたのですね。
どのようなきっかけでお知りになったのでしょうか。

原田 以前は加工技術や生産設計を担当する部署にいました。
そこでは個別最適を目指すことが業務の中心でしたが、1年前に今の生産技術部 商品技術に異動し、今まで以上に開発、工場、購買等の他部門と生産技術部をつなぐ、新製品の旗振りの役割を担うことになりました。
各部門を見て連携しながら、全体の最適化を図ることが課せられたのです。
そこで改めて生産技術部の役割、あるべき姿がどうなのかを1度勉強したいと考え、いろいろと探している中でヒットしたのがCPEでした。
受験は部署異動がきっかけだったといえます。

原田様は生産技術のお仕事を担当されるのは1年目ということでしょうか。

原田 私は入社して12年になりますが、部でいうならずっと生産技術部です。
部署も商品技術開発室ということには変わりません。
商品技術開発室にはいくつかの課が設けられています。
私が最初に配属されたのが加工技術開発課で、その後配属されたのが生産設計課です。
より開発に近くなった部署で、全体の最適化を図っているわけです。

リンナイ

生産技術部門が抱える課題とは?

御社における生産技術の課題とはどのようなものでしょうか。

原田 生産技術はどうしても受け身のところがあります。
開発や営業から企画を持ち込まれ、仕事を受けることが多いのです。
結果、新製品を立ち上げるまでに残された期間が短くなってしまい、とても対応しきれない部分が出てきます。
そこで、いわゆるフロントローディング、どんどん前工程へ関与していく必要があると考えたのです。
そのプロセスでは様々な課題が出てきますが、それを解決するため、私どもの部門があれこれと調整しながら、前段取りし、少しずつレベルアップしようとしています。
商品コンセプトや販売戦略に見合う製造コンセプトを明確に設計し、それぞれが統一されたものづくりを進めていくために課題はまだいっぱいあるのです。

開発と製造をつなぐポジションとしてどのようなことを意識されていますか。

原田 開発は当然、商品や仕様を造り込む目線でものをいっていきます。
これに対し、工場は量産準備や日々の生産を進めなければなりません。
生産技術は量産準備とまた違うところにいるものですから、それぞれの部門の意見を集約する中でうまい潤滑役になることも求められます。
他の部門と違う目線で全体を見ていく役割だといえるでしょう。

リンナイ

勉強する際に工夫した点とは?

ガイドブックのボリュームもそれなりにありますが、実際に勉強するに当たってどんなところにご苦労がありましたか。

原田 今年1年でCPEとMEを一気に受けましたが、今の部署は全体的に物事を見ますから、テキストに書いてあることを実際の業務に照らし、「なるほどね」と理解していくことができました。
リアルの部分で付き合わせ、確認ができたのです。
しかし、実際の業務でまだ体験していない部分もいっぱいありましたから、そこは苦労しました。
そんなときはその道の詳しい人に意見を聞くなどして少しでもリアリティーを増すように工夫していました。
それでも、なかなか頭に入らないこともありました(笑)。

単に記憶しようとするのではなく、現場と照らし合わせて実際にどう展開できるかいろいろとイメージされたのですね。

原田 あと、ME試験に関しては、基本的にマネージャー対象で今の私よりもっと立場が上の人の目線が求められます。
上司からよく「今の立場より1つ2つ上の立場になったつもりでものごとを考えろ」といわれているのですが、そのつもりで考えていくと比較的、取り組みやすかったと感じました。

素晴らしいですね。そういう姿勢が原田様により広くて高い視点を与えたのかもしれませんね。
勉強時間はどう捻出されたのですか。

原田 土日は子どもに時間を取られ、なかなか勉強できません。
朝早めに出社して30分ほど勉強していました。
暗記だけならもっと時間がかかったでしょうが、実際の業務をイメージしながらやると、意外にすっと頭の中に入ってきました。
業務に即してイメージして分からない言葉を調べる感じでした。
思ったより短時間で済みました。
気になった言葉をメモし、特に重要と感じた仕事の進め方やあるべき姿のところには付箋を貼っていき何度も見返すようにしました。
今回の勉強の仕方はこの試験に合っていたように思います。

リンナイ

あるべき姿をどう可視化する?

ガイドブックの中で印象に残っている部分などはありますか。

原田 担当者レベルからマネージャーレベルまで一連の流れが学べましたので、非常に参考になりました。
ただ、現状の仕事を「スキルスタンダード」に照らし合わせてみると自分のレベルはまだまだだと痛感しました。
今後の自分や自社の課題が明らかになったのは良かったと思っています。

技術には固有技術とマネジメント技術があると言われます。
各社の固有技術についてJMAがコミットする場面は少ないかもしれません。
しかし、マネジメント技術を各社が「スキルスタンダード」としてここまでまとめるのは、時間もかかるし大変だと思います。
自社特性と照らし合わせて取捨選択していただきながら、少しでも新たな発見があるとありがたいと思います。

原田 生産技術に求められるスキルや考え方をまとめた本は、なかなかないと思います。
特に当社では海外での仕事が増えているため、担当者レベルでマネージャークラスの仕事をしなければならなくなっています。
だから、マネジメントレベルの知識を持つことはよりいっそう大事なことだと思いました。
ガイドブックにおいても海外のことも含めて、もうちょっと内容的に分量があってもいいような気もします。

御社では生産技術者のあるべき姿を文字化されて定義しているのでしょうか。

原田 明確な定義が十分にされているとは言えないと思います。
そこがモヤモヤしているものですから、その辺をちゃんと体系化し、見える化するためにもこういう勉強をした方がいいと思っています。

ご指摘いただきましたように、スキルスタンダードは割と重宝されています。
こうありたいと思う姿を見える化することにより、人材育成の手段としての教育研修や評価の際にある程度指針として使えます。
それがないと、研修の意味があるのかとか、人事評価の意味が分からないとかいうことになりかねません。

原田 そうですね、ここに書いてあることは結構、レベルが高いと思っています(笑)。

上場企業の経験を経た生産技術者でも「うちだと課長レベルでもこれは厳しい」という声を聞きます。
それだけ奥が深いお仕事と言えると思います。
原田様はこの資格を最高得点で取得し、プロの生産技術者としてこれからどんな目標や夢をお持ちですか。

原田 どうしても最初は個別の最適化にとらわれていましたが、もう少し全体の最適化に取り組み、会社全体をいい方向に向かわせることができる人材になりたいと思います。

本日は様々な興味深いお話をお聞かせいただき誠に有難うございました。
益々のご活躍をお祈り申し上げております。