2018年4月19日
リコーインダストリー プリンティング事業部副事業部長、生産技術センター所長 庄司様に、CPE/CPE-ME試験に関するインタビューを行いました。
プリンティング事業部副事業部長
生産技術センター所長
庄司 様
※以降敬称略、所属・役職はインタビュー当時
本日はリコーインダストリー株式会社 プリンティング事業部副事業部長、生産技術センター所長の庄司様を訪問させていただいております。
庄司様はCPEに2010年7月に合格、CPE-MEは2011年11月に合格されていらっしゃいます。
その後も責任者として後進の育成に力を入れていらっしゃいます。
本日は人材育成を含め幅広くお伺いしたいと思います。
現在は1,000人近い職員がいる事業所を統べるお立場ですが、受験当時はどのようなお立場だったのでしょうか。
庄司
CPEは生産技術の資格ですが、2010年当時は生産技術から離れていました。
もともと入社して最初に配属されたのが生産技術の部署でここで多くを学びました。しばらくするうちに視野を拡大することを求められて経営企画部門や出向などを経験しました。
そろそろ生産技術へ戻りたいと思った時、自分に生産技術のスキルがどれくらいあるのかが分からず、戻りたい希望を伝えられずにいました。
複数の会社を体験した人なら、自分のスキルが客観的にどのくらいのレベルにあるのか分かっているでしょうが、1つの会社にずっといると生産技術のレベルは分からないものです。
そんな時期にこの資格を知り、力試しのつもりで受験しました。
初めてガイドブックをご覧になったときの印象は覚えていますか。
庄司
以前にIE士セミナー(生産革新プロフェッショナルコース)を受講していたので、初めて知る用語等はありませんでしたが、自分が経験していないことが半分近くあったのではないでしょうか。
そこは独学になりました。
2010年に見事CPEに合格され、2011年にはCPE-MEに挑戦されました。
そのころはご自身の生産技術に関する能力に自信がつき、更に自分の実力を見える化しようというお考えでしたでしょうか。
庄司
私はCPEを生産技術者としての実務のプロフェッショナル、MEをマネジメントと認識していました。
当時の役職からしてMEを持ちたいと思い、取得したあとの2012年に生産技術の部署へ戻りました。
一応、当時の人事部長に資格を取得したことを伝えたのです。
資格を取ったからといって、自分が行きたい部署へ必ず配属されるわけではありませんが、タイミングもあり希望通りに生産技術へ何年かぶりで戻ることができました。
果敢なチャレンジ精神で現在は1,000人近い事業所を牽引するお立場でいらっしゃいますが、御社の中でCPEはどんなふうに役立っていますか。
それと御社の生産技術にはどんな特徴があるのでしょうか。
庄司
私達の製品は開発、生産準備、開発機能試作、量産試作というステップを踏み、種々の評価プロセスを経て量産をスタートさせます。各ステップにおいて新しい技術や開発要素を盛り込みます。
同時に開発リードタイムを短くしなくてはいけないので、マネジメントや日常の判断がすごく重要になってきます。
CPE-MEはそういう部分ですごく役に立っています。
今でも仕事で息詰まるとCPEのテキストをコピーしたものを見直すことがあります。
庄司さんは人材育成について大変重要視されていらっしゃいますが、考え方・方針のようなものがあれば教えてください。
庄司
その道のプロフェッショナルである匠を育てる方向と、オールマイティーの多能工を育てるという2つの側面で進めています。
当社の工場はお客様の需要変動を受けて生産量の変動があるため、自分の工程の仕事だけをしていたらいいというわけにはいきません。
また当然繁忙期と閑散期がありますから、その時に他のライン、現場を手伝わないといけないのです。
そういった意味で匠と多能工のどちらも必要なのです。
貴社商品は高付加価値商品ですから、生産のノウハウなどが非常に重要だということですね。
庄司
そうですね。
OA機器は海外で生産してとにかく安く早くという普及層、ローエンド層向の大量生産品がありますが、この事業所で扱っているのはハイエンドモデルで多品種少量生産品です。
また、摺り合わせ型の製品でもあり、部品AとBを組み合わせてCという特性を持たせたいと考えても、実際にはAとBを組み合わせるだけでは必ずしも特性Cが生まれるわけではありません。
ここがまだまだ量産技術として明らかに出来ていないところでもあります。
ゆえに結構な工数をかけてすり合わせを繰り返しながら作り込んでいかなければならないのがここの事業所の製品の特徴でもあります。
また、お客様からのご要望は常にレベルアップを求めてきます。
1つ前のモデルだと問題がなかったとしても、次のモデルはスペックを上げて、新機能を高精度で作り込まなければいけないことが多いのです。
そこでも生産技術の力が問われてきます。
庄司さんの合格後も順調にCPEの受験者は増えています。
これからの生産技術者にはどのような視点が求められるでしょうか。
庄司
この様な試験制度があると、自分の力試しができ、客観的な自分の力量と水準を知ることが可能になります。
資格に合格すれば自信になるし、それはそれでいいと思いますが、もっと大切なのは資格を取得する為の勉強を通じて生産技術者としてのレベルを高めることでしょう。
チャレンジし続ける気持ちを持ち続けることが重要だと思います。
真剣に勉強することで自分の見識やスキルが高まり、様々なことに気づく力を得て、それが仕事に役立つときが必ず来るはずです。
自分の中には、常にマンネリを打破したいという思いがあるような気がします。
また「基本の重要性」を強調したいです。
CPEで勉強するのは基本的なところが多いです。
言い換えると基本を理解していないと解けない問題が多いということです。
でも、基本を押さえておくと、いろいろと応用が利きます。
基本・基礎が出来ていないとその上に堅固な建物を構築するのは難しいです。
毎年部門の方針発表会があるのですが、今年度の方針発表で私が部門内の生産技術メンバーに向かって『CPE取得に挑戦しよう』と呼びかけました。
しばらくして部下から「CPEに受かりました」という報告を受けました。
全くチャレンジしているように見えなかったので、部下達に発破をかけようとしたのですが、実はみんな頑張っていてうれしかったです。
目立たなくても、陰で頑張っている人がいる。そのような人々に支えられて会社は繁栄するのだと思います。
最後にJMAに向けたリクエストがあれば、お聞かせいただきたいと思います。
庄司
CPE-MEの上の資格を作ってほしいですね。
いわゆる生産技術本部長や生産技術センター長とかいう人たちが持ちうる資格です。
生産技術のMBAとでも呼べば良いのでしょうか。
そういう資格があれば、世の中の企業のセンター長や技術本部長もチャレンジするのではないでしょうか。
そんな頂点の資格ができれば、私は是非チャレンジしたいですね。
庄司さんはいつも目の前に上るための山がほしいのですね。
本日は貴重なお話を誠に有難うございました。