新製品の原価企画には全社が一丸となって取り組もう(CPEコラム7)
生産技術者の重要な業務のひとつとして、原価企画が挙げられます。
これは新製品の利益を目標通りに達成するために、
研究・開発はもとより調達・製造・廃却にいたるまで、
企画段階から会社が全力を注いで取り組む活動です。
この重要な原価企画という業務と、それを包括する原価管理全般について、
今回と次回の2回に分けて考えましょう。
原価企画にはプレッシャーがつきもの
原価企画は単なるコスト低減の技法ではなく、経営管理の仕組みです。
したがって、自社の状態を見極めた上で、プロジェクトの対象となる範囲を設定する必要があります。
プロジェクト責任者には、コストだけでなく品質・納期に関する責任が大きくのしかかってきます。
例えば、経営陣からは経営上のプレッシャー、
事業責任者からは費用に関するプレッシャー。
競合他社の情報も同様に、大きなプレッシャーになります。
さらに開発が進んでいくと、設計・生産技術・製造の各部門から、費用面での問題が提示されます。
燃え尽き症候群になってしまう
このようなさまざまなプレッシャーを跳ね返し、コストに関する問題を解消してプロジェクトを遂行したとしても、プロジェクト責任者や開発・技術部門のエンジニアたちには、
「今回、やるべき事をやりきった」
という満足感よりも、
「次は、もうやるべき事がなくなった」
という閉塞感が強く残ることさえあるのです。
原価企画における全社支援の必要性
また、原価企画は全社挙げてのプロジェクトのため、自社の事業戦略、組織構造、マネジメントシステムなどから影響を受けます。
「関係者全員が共同でコストを作り込む」
という意識が弱くなったり、
原価企画活動支援の社内の仕組みが弱かったりすると、機能や性能面で満足できる新製品の開発の仕組みと、コストの作り込む仕組みとが、かけ離れてしまいます。
サプライヤー育成の重要性
もうひとつ、コスト力の向上を目指すためには調達先の育成も大切です。
コストの引き下げだけを要求してばかりいると、調達先は意欲を失って、協力関係が弱まるのは当然の成り行きです。
さらには、コスト引き下げのために品質管理が甘くなり、最悪の場合には、顧客の信頼を裏切るような製品が仕上がることもあり得ます。
次回のコラムでは、原価管理全体に関する問題の原因を把握して、改善をうながすヒントを紹介しましょう。