設備調達でのトラブル要因を把握して、上手に業務を管理する(CPEコラム5)
設備調達の種類 ~生産活動とインフラ~
今回は、設備調達において起こりうる問題に焦点を当ててみましょう。
設備調達には大きく2つの種類があります。
ひとつは、実際の生産活動に使用される設備調達です。
ここでは、これまでの生産能力や品質、コストを維持・増強しつつ、安全性や法規制、環境などへの対策も万全でなければなりません。
もうひとつはインフラに関する設備調達です。
こちらは、生産設備の見直しに伴うレイアウト変更、福利厚生など各種施設の充実が目的です。
どちらの設備調達も、多くの場合は開発設計部門、生産技術部門、調達部門で業務を分担します。
これは個別の業務の専門性が要求されるためであり、仕様提案や依頼が特定の調達先に偏らないよう、
各社間の競争を徹底するためでもあります。
設備調達の業務範囲で起こりうる問題点と、その原因
それでは、主として調達部門の業務範囲で起こりうる問題点と、その原因を見てみましょう。
倫理上の問題
例えば、調達側が特定の調達先候補と接触したり、事前に予算を提示したり、調達先からの接待や贈り物を受けたりするのはあってはならないことです。
これは公正な設備調達倫理規程が決められていない、倫理面での教育が徹底していないといった場合に起こりがちです。
製品品質上の問題
商品の機能や品質が、調達側の要求するレベルに仕上がらない場合も、設備調達の問題である可能性があります。
要求条件が設備仕様書に表れていない、表現があいまいで要求が伝わらなかった、仕様の通りに製作されていない、検査・品質保証を十分に行われていないことなどが原因です。
特に大きな問題として挙げられるのが、量産化が遅れて納期に間に合わないというトラブルです。
これは、調達先の能力や進捗状況を十分に把握できない、納期管理体制が脆弱であるといった理由から、設備設置・試験・量産試作が計画通りに進まないために起こります。
コスト上の問題
設備調達の契約金額が予算をオーバーしたために、実績が予算を超えてしまうという問題も起こり得ます。
競争の原理を無視して調達先が固定化している、提出された見積りの査定ができない、予算内に収める交渉ができないなどの原因が考えられます。
人材育成上の問題
最後の問題点として、設備調達の経験者が少ないという課題があります。
一般的に、工場における設備の耐用年数は長いものが多いため、設備調達業務は頻繁にある案件ではありません。
また、コストダウンという観点からは、メンテナンスや修理といった設備保全に力を入れる必要があり、結果として設備調達を経験する機会は少なく、企業内に経験知が蓄積する機会が少ないと言えます
設備調達業務における生産技術者の役割
生産技術者は開発部門、調達部門と協力しつつ、計画通りに着実に業務を実行していき、設備調達に関するスキルを挙げていく必要があります。
その積み重ねを通して、より合理的な設備調達を実現させるのが、生産技術者の役割です。