作業の基本となる作業設計の重要性を認識しよう(CPEコラム4)
今回は作業設計にかかわる問題と、その原因を考えてみましょう。
作業設計を終えた後、実際の量産立ち上げに至ってはじめて、さまざまなトラブルが発生することはありませんか。
例えば、従来と類似した作業であるはずなのに、過去と同様のトラブルが再発してしまったり、新たな製品の生産作業においてトラブルが起きたり。
実は、これらは作業設計に原因があります。
何故同じようなトラブルが再発してしまうのか?
過去と同様なトラブルが起きてしまうのは、そのトラブルの現象・原因・対策といった情報が蓄積されていない、または情報を閲覧しにくい状態になっていて、作業設計の際に予測されるトラブルとしてリストアップされないのが原因です。
また、新たな作業でのトラブルに関しては、想定されるトラブルの洗い出しが不十分で、トラブルの理由さえも明確になっていないことが原因といえます。
表に出る形は違いますが、上記のトラブルの根本的な原因は、
「組織的な連携不足」
のひと言に集約されるでしょう。
業務に追われてトラブルに対応できない生産現場と、生産現場に任せきりのまま、技術力や時間制約の元で作業設計が行われることで、結果として、トラブルが発生してしまうわけです。
さらに、
「標準作業書」が形式的なものになっていて、十分に活用されていない
ことも問題です。
標準作業書は安全性やQCDの達成を目的として、人や部門異動者といった不慣れな作業者のスキル向上、一般作業者への指示、異常時の処理方法の伝達、作業方法が遵守されているかどうかを監督者が確認するためなどに使用されます。
この標準作業書に記述された標準時間は、原価計算、生産性管理、生産計画づくり、改善推進などにも
活用されます。
このような重要な標準作業書が形式的に作成されることで、さらに問題を引き起こしてしまうのです。
トラブルを回避するためには
生産現場では、安全やQCDが大切であると認識していても、十分な時間がなければ納期の遵守が
最優先となり、多めに人員を配置します。
作業設計は安全とQCDのすべてを前提として、論理的な組み立てが求められます。
もし論理的に設定した「標準人員」だけでは納期に間に合わないようなときは、「暫定投入人員」の設定もあり得ますが、「標準人員」の達成が重要事項であることを忘れてはいけません。