顧客にも環境にも優しい企業が求められている理由を考えてみよう(CPEコラム2)
近年、国際社会では、地球規模での環境保護が大きなテーマとなっています。
そこで今回は、企業の活動と環境の関わり方を考えましょう。
これまでの「大量生産、大量消費、大量破棄」という企業活動が、環境に弊害をもたらしていることは今や明白な事実です。
現在、企業に求められているのは、よいものをタイムリーに顧客に提供すると同時に、地球環境に配慮した事業を展開することです。
製造業が担うべき環境負荷への責任とは
特に製造業では、商品の生産活動そのものが環境に大きな影響を及ぼします。
製品の種類によっては、製品ライフサイクル全体(素材製造→製品製造→使用→破棄・リサイクル)を通して、環境への負荷は大きなものとなります。
それゆえ、製品の生産・設計の責任者は、生産時や製品ライフサイクルが環境に与える負荷を十分に考慮し、管理しなければなりません。
「ISO14001(JISQ14001)」という文字をよく見かけると思いますが、これは1997年に制定され、全世界で最も普及している環境管理の国際規格です。
企業が環境管理を継続させていくには、ISO14001を参考にしたシステムを構築するとよいでしょう。
もちろん、ISO14001の取得は強制的なものではありません。
企業が環境管理システムを作り上げることが大切なのです。
企業活動と環境を結びつける大事な2つの指標
それでは、環境管理システムがない企業はどうなるのでしょう。
例えば樹脂材料の加工は石油の枯渇につながり、加工に必要なエネルギーは地球温暖化や酸性雨の原因ともなります。
環境管理システムがなければ、生産活動と環境とのつながりの認識が不十分のまま、環境を壊しかねない生産活動を続けることになります。
また、環境パフォーマンスデータを把握していないケースもあります。
環境パフォーマンスデータとは、
など、測定可能なデータのことです。
本来、これらのデータは、使用される物質ごとに把握しておくのが望ましいのです。
「測定なくして管理なし」という言葉が表すように、測定値が把握できなければ的確な環境管理は不可能なのです。
環境保護を進めることのメリット
また、環境保護には費用がかかるため、法規制以上の環境管理活動は経営上でマイナスになるという考え方もあります。
確かに、環境に配慮した設備の導入にはコストがかかります。
しかし、効率性を追求していくと、結果としてコストダウンとなり、環境の保護につながることも多いのです。
顧客側も、地球環境の保護は企業の使命であるという考え方が広まりつつあり、環境管理に力を入れることは、企業のイメージアップにもなるでしょう。
前述のISO14001についても、認証を受けている企業は多いものの、実態はすでに形骸化しており、認証の維持が活動になってしまっているケースが見られます。
このような問題を避けるためにも、これからは環境管理の意味を正しく認識し、システム構築をリードできる人材が強く求められることでしょう。