品質管理上で起こりうる問題点とその解決策は?(CPEコラム10)
前回は、顧客のニーズに対応した品質を提供することが、いかに重要であるかを紹介しました。
そこで今回は、品質管理上で起こり得る問題点と、その解決策を見てみることにしましょう。
新技術導入のメリットとリスク
すでに述べたように、
「より便利で性能の良い商品を適正な価格で」
「安全な商品を」
という意識の高まりにより、顧客のニーズは多様化、高度化しています。
企業はこのようなニーズに合わせるために、新しい技術を取り込んだ製品づくりにチャレンジしなければなりません。
しかし、新しい技術を導入する際には、どのような問題が起こるのかを事前に検討する必要があります。特に、製品のライフサイクルが短くなりつつある現在、生産を開始してから不具合が発覚した場合、開発コストを回収できないままに生産終了になりかねません。
また、新しい技術の導入には、関連企業や新規のサプライヤーとうまく連携して協働する必要が出てきます。
同時に、工場の海外移転やベテラン技術者の退職に伴って、企業内部に「品質のエキスパート」が少なくなっています。ベテランの技術が蓄積されないままに、作業の質が低下するような事態は避けるべきです。
品質トラブルを回避するには
上記のような品質トラブルを回避するためには、どのようにすればいいのでしょうか。
ここでは、品質トラブルを回避するための4つのポイントを紹介します。
部門間での連携を十分に行う
例えば、設計部門では、新製品の材料の特性から、製造中に起こり得るリスクを把握していたとします。
しかし、そのリスク情報が製造部門に伝わっていなければ、製造中に取り扱いを誤って、不良製品が出来上がってしまいます。
その場合、上流部門に「後工程はお客様」だという意識があれば、このようなトラブルは起きません。
顧客のニーズに沿って設計仕様を変更したら、変更した情報だけではなく、品質そのものの情報(顧客ニーズ、仕様、想定されるリスクなど)を正確に伝える。
すなわち、部門間での連携を十分に行うことがポイントになります。
製造工程設計の作り込み
さらに、生産が始まってすぐに不具合が発生して、製造工程を見直すというケースもよくあることです。
これは、製造工程を作り込む際に資源を投入して、リスクを最小限に食い止める工程を設計すれば回避できるでしょう。
サプライヤーマネジメントの徹底
これらを十分に考慮して、しっかりした製造工程を作り込んだとしても、量産後にサプライヤーから調達した部品に不具合が見つかって、製品に問題が発生することがあります。
特に新しい技術を導入する際には、サプライヤーからの情報に対して自社内で正しい評価が出来ないため、後になって問題が発覚するのです。新しく取引をするサプライヤーや調達品は、生産準備段階からしっかりマネジメントし、不具合を低減させる努力が必要です。
技術力を考慮したライン設計
最後に、海外工場への移転や若手・派遣社員が増えることを見越して、熟練したベテランに頼るのではなく、人材の力量を考慮した製造工程を作りましょう。
力量不足の人材は十分な教育を行い、知識を蓄積し、活用できる仕組みを構築します。
これが組織全体の力量アップにつながっていくのです。