必要な工具を、必要な場所に、必要なだけ準備しよう(CPEコラム6)
今回は、ものづくりに必要な
「加工するための材料」
「加工を行う機械設備」
「適切な工具」
のうち、
「工具」について考えましょう。
治工具・金型の重要性を再確認しよう
工具とは、工作機械に装填して材料を切削する刃具、工具を正しい位置にガイドするための治具、完成品の品質を検査する計測器、材料を成型する金型などの総称です。
「治工具・金型」とも呼びます。
これらの工具を使えば、加工や組立作業のスピードは向上し、安定した品質の製品を大量に作り出すことができます。
慣れていない人でも容易に作業ができるので、労務費の大幅な削減にもつながります。
工具・金型利用における注意点
工具を十分に活用した加工手順
製品設計の際には、工具を十分に活用した加工手順を考慮しましょう。
工具がうまく使用できない、複雑で製作コストがかかりすぎるなどのトラブルを耳にしたら、それは、製造現場の情報が設計者にしっかり伝わっていない証拠。
製品設計に関係する部門の間に生産技術者が立って、必要な情報を円滑に伝えられるように心がけます。
工具製作のコストダウン
新製品の収益は設備投資に左右されるため、工具製作のコストダウンも重要なテーマになります。
例えば、摩耗や劣化による故障を避けるために、安全係数をより高めに設計する傾向が強く、これがコストダウンしづらくしていると言われています。
予定生産量を過度に見積もって、過剰仕様が生じてしまう場合も同様です。
新製品の設計変更にともない工具が変更されれば、さらにコストがかかります。
経験を積んだ技術者のノウハウ
また、工具の製作では、経験を積んだ技術者のノウハウが物を言います。
自社で加工設備や設計者を準備できる会社であれば、計画的に技術を蓄積できるでしょう。
しかし、これらの業務を外注に出している会社では、コストや納期は外注先に主導権を握られるのが実情です。
工具・金型への生産技術者の関わり方
工具製作の技術力を維持・向上させていくには、対応する生産技術者自身の技術力が重要な鍵となるのです。
そのほかにも、製造現場での工具の使用や保管、メンテナンスなどを、各工程の担当者に任せきりにしていると、まだ使用できる工具が破棄されたり、整理整頓がつかず、保管状況が悪くて工具が劣化してしまったりして、必要以上のコストがかかります。
生産技術者が工具の統一した管理方法を指導すれば、これまで余分にかかっていた経費を削ることができるでしょう。